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私って「きょうだい児」だったんだ・・・。姉にすべてを捧げていたことに気づいた

みなさんは「きょうだい児」という言葉を知っていますか?

きょうだい児とは、兄弟姉妹に障害を持つ方がいる方のこと。児という言葉がついてはいますが、もちろん大人の場合もあります。

きょうだい児は、障害をもつきょうだいに保護者の関心が集中してしまうこと、周囲からの期待やときに差別に会うこともあります。今回の体験談は、きょうだい児のある女性のものです。

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気づいたらアラサーだった・・・気づけば姉に人生のほとんどをささげていた私

私には2つ年上の姉がいます。

姉には知的障害があり、子供のころから両親はとにかく姉を守ることに終始していました。

小学生だった夏休みのことです。姉がヒステリーを起こして私の夏休みの工作を壊してしまったんです。それも始業式の前日に。

私は途方に暮れてしまったのですが、両親は「姉が怪我をしていないか」は気にしても、工作を壊された私には全く関心がありませんでした。

それどころか「明日、先生にマイちゃん(姉)が壊したと言わないように」と言うんです。

言ってしまえば、姉が悪者になるからと。私が工作をしていないと思われることは構わないのでしょう。こんな感じのことが何度もあって、私は高校を卒業。そして、福祉の資格を取るという約束で大学に行きました。

姉の障害はコミュニケーションができない。あばれる叫ぶという症状があるため、とても1人にはしておけません。進学も就職も難しいでしょう。つまり、ずっと誰かが側にいないといけない。

私は、姉ばかり大切にする両親から逃げたくて、就職して家を出ようとしていたのですが「大学で勉強したんだから、お姉ちゃんを見てあげるのが当然」と家を出して貰えず、近くに就職し仕事と姉の世話の繰り返しになりました。

母は「楽になった」と言ってくれますが・・・。

こうして私の20代がどんどん過ぎていきます。好きな人が出来て食事に誘われても姉がいるから家に帰らないといけない。友達との旅行もいけない。服を買ってもアクセサリーを買っても破られるか、取られてしまう。だから買わない。車を買うときも「姉が乗れるか」がポイントになり、欲しかった車ではなく大きなミニバンになる・・・。

私のすべてが姉に占領されていきました。

姉が憎いわけではありませんが、どうして私がこんなに我慢をしないといけないのかと思っていました。そんなときにあるテレビで「きょうだい児」という言葉を知ったんです。

私、きょうだい児なんだと。そして、似たような悩みを持っている人がいると知りました。気づけた時、私はすでにアラサーになっていました。

失ってしまった時間は戻らないけど、姉が憎いわけではありません。ただ、今からでもいいから自分の時間を取り戻したいなと思うようになりました。いろんな人のアドバイスを聞いて少しずつ、自分を取り戻したいと思っています。

見過ごされていたきょうだい児の心のケア

経験者でなければわからない苦悩をお話ししていただきました。障害があるお姉さんにすべてを捧げていた・・・ご本人が我慢してきたこと、つらかったことは言葉ではとても言い表せないものがあります。

きょうだい児は最近できた言葉。ですが、こういった苦悩を抱えている人は過去にもたくさんいらっしゃったことでしょう。

孤独や閉塞感、そして、社会からの孤立感など様々な悩みを抱えやすい環境のきょうだい児ですが、最近になってきょうだい児の心の健康やケアにも注目が集まっています。自分だって遊びたい。親に甘えたい・・・と思ってもついつい我慢してしまう。良い子にしていないといけないというプレッシャーを抱えていたという方もいらっしゃいます。

簡単には解決することはできませんが、こうした葛藤を抱えた方のケアがもっと充実していくことを願うばかりです。

シフクのお悩み広場:担当のリン