他人の幸せを願うと心が安定する?アイオワ州立大学の実験

急に不安になったり、心が落ち着かなくなったり・・・。どんな人でも不安な要素はあるのではないかと思います。
心の安定は楽に生きるためにも必要な事ですが、実際に常に心を安定させるというのは簡単なことではありません。自分の心をコントロールする方法はたくさんあって、様々な手法で人は心の安定をはかるわけですが、今回ご紹介したいのは「他人の幸せを願うことで不安が減少して心が安定する」という実験についてです。
「他人の幸せを願うだけ」
私も最初は「そんなんで大丈夫なの?」と思いました(笑)ですが、これ、ちゃんとした実験で効果が確認されている事実のようなのです。
他人の幸せを願うと不安が減少する?
他人の幸せを願うと不安が減少するという興味深い実験はアイオワ州立大学のDouglas Gentile氏によるものです。この実験では、被検者に12分の散歩をしてもらうというもの。
そして、被験者は4つのグループに分類され、散歩の途中ですれ違う人に対して
- この人が幸せになることを望みますというような優しい考えを抱く
- 相手と自分にはどのような共通点や関連性があるのかを考える
- 相手より自分の方が優れている点を考える
- 相手の服装や持ち物についてだけ考える
という4つのグループに分けられます。
もちろん、すれ違う人はアカの他人で全く知らない人です。
そして、この散歩をした前と後に散歩の前後に、不安や幸福、ストレス、共感性、他者とのつながりといったスコアを測定するのです。
そして、この実験では「すれ違う人に対して優しい考えを抱く」ように意識したグループは、不安が減少したそうなんです。そして「相手より自分の方が優れている点を考えた」グループでは、感情の改善点が見られなかったというのです。
つまり、全く知らない他人に対して優しい気持ちを持つことで、不安が減少し心が安定しやすい傾向があるということ。
実は、1980年代には心理学的に「他人を見下すこと」で沈んだ気持ちを改善させることができると言われていたのですが、全く逆ということです。最近の研究では見下すかどうかではなく、他人と自分を比較することそのものが心に良い影響を与えないとされているのです。
全く知らない他人がポイント
他人の幸せを願うと不安な気持ちが減少する・・・なんだか綺麗ごとのように思えますが、実験でされが証明されたわけです。
今回の実験にはいくつかのポイントがあるのですが、そのポイントの一つは「全く知らない他人に対して」であることかもしれません。
公園ですれ違う人は、縁もゆかりもない、名前すら知らないアカの他人です。この場合、相手がどんなひとなのか、相手が本当にこの後で幸せになったのかを確認する必要すらありません。言ってしまえば「勝手に幸せを願う」だけでいいのです。
ですが、これがもし家族や友人、知り合いだったらどうでしょうか。相手が自分にとってとても大切な人で「幸せになって欲しい」と思う事は一見、良いことのようですが、相手が意に反して不幸なことを出会ってしまったり、間違った選択をしていたらそれが「ストレス」になることもあるでしょう。そして、相手に対して良くない感情を持っている場合、自分が嫌いな人の幸せを無理矢理願うこともまたストレスになるのです。
つまり、ポイントは全く知らない他人であるということ。勝手に幸せを願って自分が「優しい気持ちになる」という究極の自己満足とも言えるかもしれません。ただこの自己満足こそが、自分の不安な気持ちを減少させてくれるなら・・・とても簡単でしかもリスクがない良い方法ではないでしょうか。
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